ひきこもり刑事(デカ)/第4話
第4話 田園署恒例・バーベキュー大会を遂行せよ †
「おい、穴戸、昼休みにでもマルヒロで、頼んだぞ。」
駅前スーパーで肉の買出しを指名されたヤスオ。
行楽シーズン、バーベキューは署内慣例の行事になっているのだ。
さっそくパソコン画面に向かい開いたページは『Yahoo!オークション』。
「情報も肉も鮮度が命。」ネットの世界に滑り込むヤスオに迷いはない。
『とろける(≧∇≦)《牛ほほ》約1kg1頭分!300gプリップリです♪ 』
2,780 円 6時間
「よし来た。」今日もネット嗅覚が冴え渡る。
その後も木炭、レジャーシート、割り箸…。
カタカタカタッタタ…最安値で落札でミラクル連発である 。
ついでに私用のブツも落札するヤスオ。
クーラーボックスに冷えたビール、署員が家族を連れ立って集まるバーベキュー当日。
あとはヤスオのプリップリ♪(≧∇≦)の肉待ちである。
「幹事さーん、お肉は?」交通課の婦人警官が、ヤスオにたずねる。
指し示した大きなダンボールに、湧き上がる子供たちの歓声。鼻高々のヤスオ。
みんなに囲まれて開いたダンボールの中にあったものは… 冷却ファン。
どうやら、ついでに落札した私物と、肉を取り違えて、
会場にもってきてしまったらしい。
いまごろ、肉は田園署のロッカーの中で、じわじわと腐りかけているに違いない。
「お肉はー」泣き叫ぶ、子供たちの声の中、ヤスオの意識も遠ざかりかけていた。
その日の晩。厳しい顔で自宅のPCに向かうヤスオ。
すばやいキータッチの後、晴れ晴れとした表情で顔をあげた。
モニターに映し出された画面とは…
がんばれヤスオ。でも、八つ当たりはほどほどにね !
第5話につづく
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